with the beatlele: 01.02. Misery (125 JP/C 2/213)

2009/05/03

01.02. Misery (125 JP/C 2/213)

とっても『惨め』な僕がそこにいた。

彼女と知り合った頃はとれかけたパンチパーマ頭の僕も少しは東京のその時代の大学生らしくなっていた。(と思う。)サーフィンもしないのにサーファーみたいなかっこうをすることが流行っていて、周りに流され易い僕もそんなかっこうすることがあった。ポロシャツにFARAHのグレーのパンツ。(相変わらずお金はなかったから無理をして一張羅としてやっと買ったものだ。)髪はちょっと長め。

彼女とのお付き合いもお金がないなりに続いていて、お酒を飲みにはいけなかったがたまにお昼を小奇麗なCafeで食べるとか、僕の部屋で話をするとかとか。

そんな彼女も短大を卒業する歳になった。(彼女は音楽と演劇で有名な短大の音楽と演劇ではない学部?学科?に通っていた。)彼女は社会人になるが、二人の関係は何も変わらないと思っていた。
でも実際には二人の関係は変わっていってしまう。彼女が変わったというより僕が変わってしまったのだと今は思う。

その頃には家庭教師のバイトも始めていて金欠病はいくらか緩和されてはいたが、(一張羅としてFARAHを買う位のことはできたが)サークルのスキー合宿には参加はできていなかったし、夏のテニス合宿も、お金がかからないように夏休みの間は実家に帰って、さらに土方や家庭教師のバイトして溜めたお金でやっと参加するって状態ではあった。

そんな僕に対して彼女は社会人。自らの手でお金を稼ぎ始め、上司や先輩から誘われて有名なレストランなどにも行くようになる。そんな話を聞かされる。何もしてあげられない自分が惨めに感じ始めていた。きっと彼女はそんな僕であっても付き合うことを止めるとまでは思っていなかったと思うが。

バイトなども増やせば僕にだって彼女を有名レストランに連れってあげられると思いながらも、有名レストランに連れてってあげないから、すてきなアクセサリーを買ってあげられないから二人の関係がダメになるなんて考えるのもいやだった。デメリット商法でこんなに悪い点ダメな点があるけどそれでも付き合ってくれることで彼女の本当の気持ちが伝わってくるような気がしていた。

その一方で勝手に劣等感は募っていった。

とっても『惨め』な僕がそこにいた。

お金はなくても僕の汚い4畳半の部屋で話をするだけで楽しんでいた、いつも笑っていたその姿やドキっとする仕草、お弁当を持ってでかけた公園、そんなささいな思い出が忘れられない。
でも彼女はもうそこにはいない。
何となくギクシャクしてしまった(僕がさせてしまった)関係は結局もと通りにはならず・・・。
自分で自分を惨めと思い込み、彼女につらい思いをさせてしまった。

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