with the beatlele: 01.01. I Saw Her Standing There (081 P/E 1/213)

2009/05/02

01.01. I Saw Her Standing There (081 P/E 1/213)

『彼女がそこにいるのを見た』のは大学のサークルでのテニスの時だった。

僕は振り返れば山、周りは畑と田んぼ、歩いてスーパーマーケットにも行けないないような田舎町に生まれた。4年制の大学に行くのも親戚一同で僕が初めてであるような家系で育った。
高校時代も田舎の高校生らしくパンチパーマの髪型にボンタンを履き『ん~授業をサボってぇ~』校舎の屋上でタバコを吸うようなことをしていた。(それが『カッコイイ』と思うような時代と年頃だったのだ。)
ただ、それも周りの友達のまねをしていただけで、実際には臆病で親にも反抗せず自分から好きな女の子にアタックできないようなそんな高校生だった。

そんな僕が東京の大学に行くことになる。(僕は頭がイイとは思わないけど、それなりの大学に入れないのは『カッコワルイ』とは思っていたのでそれなりに受験勉強をやったおかげで、それなりの大学には入ることができたのだ。)
(今の歳になると、本当のかっこよさってのは如何に自分をありのままの自分として表現できるか、周りの評価など気にしないで、ってことなのだと思うようになった。自分勝手やわがままってことではなくて、自分の意見を素直に表現でき相手の意見を素直に聞いて変えるべきは変え、自分が正しいそのままでいいと思う部分は変えない変わらない。そんなやつがかっこいいやつなのだと思う。)

大学ではテニスやスキーのサークルに入るのが一般的な時代だった。でも田舎者でお金もない僕にはそんなサークルが浮かれた坊ちゃんやお嬢様がやるもんだという固定概念があってサークルなどというものに入る気は初めはなかった。何もしないで過ごしている内に友達の兄貴の友人が立ち上げたというバスケットボールのサークルに入らないかと声をかけてもらった。(僕は中学時代にバスケットボールをやっていた。ただこれも最初は野球部に入ろうとしたのだが、人数が多すぎて入れそうもないからだったのだが。)バスケットボールだったら経験もあるしテニスなどと違い浮かれた感じもないだろうと言うことで入ることにした。

蓋を開けてみるとバスケットボールもやるにはやるが(僕が入った当時は経験者がほとんどいなかった。)結局はテニスとスキーでなーんだって感じだったが、先輩達には浮かれた感じはなく真面目そうだったし他にすることもないのでまーいっかって感じ。ただ、テニスやスキーには道具を買うお金もないし参加はしていなかった。(家計的には国公立しか無理だったが、東京の大学に行くことは『カッコイイ』と思っていたので、仕送りはチョットでいいし奨学金をもらうからと親に頭を下げて行かせてもらっていた状態だったし、バイトもしていなかったので本当にお金はなかった。コンパにも何回かに1回参加できればいい方だった。)

そんなこんなしている内にご多分にもれず授業の合間にはマージャンをするようになる。お金を賭けるには賭けるが点1とかかわいいものだった。そんなある日めずらしく大勝した。大負けしたのは東京出身の大きくはないが会社を経営している家の僕から見れば『お坊ちゃま』。そんな時彼から提案が。現金の代わりにこのラケットではどうかと。買って間もないが気に入らないらしい。現金でもらうよりはずい分とお得な提案である。で、受けることにした。これでテニスができるようになった。(足元やかっこうはバスケットボールのままなんだけど。)

で初めてテニスの練習に参加したんだ。

『そこで見たのさ。彼女がそこに立っているのを。』

ラコステの白いポロシャツに紺色のスコート。タツノオトシゴみたいなマークの淡いサックスブルーのカーディガン。決して細くはないしっかりとした足がそこから伸びている。周りの人たちと楽しそうに笑っていてすごく明るい子だなーって思った。

僕はといえばラケットはもっているが、パンチパーマがとれかけた頭にこれからバスケットボールやるのってかっこう。一生お近づきにはなれそうもないなと。

でも見てしまったのだ。彼女がそこに立っているのを。

彼女がそこに立っているのを見てから十数年が経過したその後、彼女は僕と同じLAST NAMEをもつようになる。

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